『月信』2月号
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陳リ理九州大学大学院地球社会統合科学学科修士課程1年生世話クラブ:福岡東RCカウンセラー:石村かよ子(台湾) 台湾高雄市出身の、陳愛理と申します。現在、九州大学地球社会統合科学府の修士一年生です。 日本語通訳を務める母へのあこがれに加え、母国台湾と、世界の懸け橋になれるような人材になりたい、という思いから、私は高校卒業と同時に日本に留学し、九州大学共創学部に進学しました。 台湾という、国際的に微妙な立ち位置にあり、政治的にも分裂が見られる環境で育ったため、私は民主主義国家の政治に強い興味を持つに至りました。民主主義国家は、多様な意見の存在を許し、意思決定を行う前に、対話を重ねて利害の調整を行います。これは、民主主義の長所であると同時に短所でもあります。多様な人々のあいだでの利害調整と、効率的な意思決定は両立しづらく、特に災害時、戦時やパンデミックなど、迅速な判断が要求される非常時においては、民主主義のこうした特徴が足を引っ張ってしまうこともしばしばです。ゆえに、緊急事態においては、迅速な判断を可能とするため、指導者に強権が付与するという措置が取られることが多いのですが、これは、独裁を正当化させかねないというリスクを伴ってもいます。 こうした問題関心から、学部では、「非常時における民主主義の維持」を、第二次世界大戦時のイギリスと現代台湾を対象に比較研究を行い、非常時にあって、民主主義を損なわないようなリーダーシップの在り方について考えました。大学院では、このテーマを、少し違う角度から見てみたいと考えています。 この度、ロータリーの米山奨学生となれたこと、心から幸いに思っています。例会に参加するたび、ロータリアンの皆様とお話をさせていただくたび、今まで知らなかった世界を見せていただけて、毎回非常によい刺激を受けております。米山奨学生としてふさわしくありたい、と思うとともに、皆様のように、社会に貢献し、誰かによい刺激を与えることができるような人間になれるよう、これからも励んでまいりたいと思います。2月号 No.9   13チェンアイ 愛九州大学大学院で、各国の政治の多角的な長所短所や真のリーダーシップについてなどを研究しています米山記念奨学生紹介

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