月信9月号
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 9月号 No.4  3 さて、以上の説明を踏まえて、皆さんはどのようなことをお感じになるでしょうか。 これは、7つの重点分野の大半について言えることですが、どのテーマも低開発国や紛争当事国に関わることとしては理解できても、先進国に暮らす我々にはあまり身近なこととして感じられません。とりわけ奉仕プロジェクトのテーマとして捉えるときには、これがグローバル補助金の要件とされることもあって、国際奉仕に関わる大掛かりな奉仕プロジェクトの問題として捉えられ、身近な奉仕活動としては縁遠いものに感じられがちであることでしょう。  そこで、ここでは、2つの切り口を示唆しておきたいと思います。  その一つは、子どもの貧困や家庭生活の問題と関連付けてみる視点です。わが国では義務教育が保障されており、全く文字の読書きができない子供は稀であるはずです。しかし、就学の機会そのものを奪われるわけではなくても、低所得世帯に生まれ育ったために学用品さえ満足に揃えられず、日々の学習習慣からも疎外されて、能力や資質に恵まれていても十分に学力や思考力を伸ばせないまま、進学の機会から疎外されてしまう子どもは、我々のごく身近なところにもたくさんいます。これは貧困の問題と根を同じにします。彼らの学びや学習(補習)のために、我々にできる支援を工夫できないでしょうか。 あるいは、家族の介護負担等のために普通の就学生活が営めず、進学や就職の機会を閉ざされてしまう「ヤング・ケアラー」の問題なども、同じような視点から捉えられるかもしれません。 このような子どもたちを適切に支援して大学への進学率等を高めていくことができれば、彼らを頼もしい社会の担い手へと変えていくことができます。  また、更に視野を広げ、より高い学力や思考力を育て、広い社会的視野を与える活動と捉え直してみれば、身近な子どもたちに対する支援の内容はもっと豊かなものにできるはずです。ここに二つめの視点があります。  たしかに、「基本的教育と識字率向上」といえば、国際奉仕(低開発国支援)が主な対象分野となることは間違いありませんが、その点だけに目を奪われず、広い視野をもってアイデアを練ることを忘れないようにしてください。 ロータリーボイスには、「基本的教育と識字率向上月間」に関連する活動として、東京府中ロータリークラブの作文コンクールの開催支援活動なども紹介されています。奉仕活動の分野は「国際奉仕」ではなく「社会奉仕」に区分されています。このような活動をみれば、あまり構えずに取り組める活動であることも理解されるでしょう。  本稿が皆さまの目に届くころには、最新版(2023年8月版)のリソース集がお手元に届くはずです。また、ロータリーショーケースには、参考となる様々な活動のアイデアも掲載されています。マイロータリーからアクセスして、是非クラブ内での立案に役立ててください。皆様の豊かな発想力に期待しております。私たちが心掛けるべきことむすびとして

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