『月信』6月号
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国際ロータリー 第2700地区ガバナー2 6月は、「ロータリー親睦活動月間(Rotary Fellowships Month)」です。 この「親睦」は、心あるロータリアンにとって最も身近で心を寄せる言葉の一つでしょう。「奉仕」の理念と並んで、ロータリーの精神を象徴する最も重要な価値概念の一つであるとされ、ロータリーソング「我等の生業」の中では、この二つを対句として「平和親睦/向上奉仕」と唱和されます。 今日のロータリーでは、例えば、標準クラブ定款・標準クラブ細則の中に「親睦」という言葉を見つけることはできません。「奉仕」という言葉が「ロータリーの目的(The Object of Rotary)」や「5大奉仕部門」などの言葉の中に頻繁に現れることとは対照的です。しかし、「親睦」という言葉は、ロータリーの中核的価値観の一つとして明記されており(親睦、高潔性、多様性、奉仕、リーダーシップ)、正面に出ることは少なくても、間違いなく大切な価値観として伝承されています。 ところで、このロータリーでの「親睦」は、これを硬い意味に用いるときは一般の国語用例としてのそれとはかなり距離感があり、理解しづらい言葉として説明されることが多いように感じます。その親睦を図るための「親睦活動」の使い方も同じことです。その一方で、親睦活動をもっとフランクに捉えて、友情を深めるのに有意義な心の交流を図る諸活動を広く称するものとして軟らかく用いることも多くなってきました。 概念を詳密に定義することはしばしば言葉遊びに陥りがちで、あまり好ましいことではありません。しかし、古典的なロータリーの概念モデルで用いられる「親睦」には、特に日本のロータリアンが100年余りの長い歴史を通じて大切にしてきた価値観を凝集したものと捉えることができる部分があります。その本来の意味での「親睦」の意味をしっかり理解しつつ、その周囲により柔軟で豊かな内実を備えた「親睦活動」が広がっているものと捉えて、「ロータリーの現在」を理解するのが適当ではないかと感じています。 そこで、ここでは硬い言葉としての「親睦」と、軟らかい言葉としての「親睦(親睦活動)」とを区別して、特にロータリー初心者の会員諸氏のために言葉の意味を説明してみたいと思います。 この「親睦」と同じように難解とされる言葉に「職業奉仕」があり、この二つを「親睦と職業奉仕」という形で並べる例もしばしば散見されます。この二つは実はとても相性のよい考え方だと感じられます(職業奉仕については、月信1月号に詳しく書きました。是非ご覧ください)。 古典的なロータリーの概念モデルの中に位置付けて「親睦」を整理するときにはやはり、まず「奉仕の個人主義(I serve)」と例会中心主義との関係で理解する必要があるでしょう。奉仕(社会への価値ある貢献=Serve)は、心あるロータリアン一人ひとりの中にあって各自が行うものであり、例会は、その個人(ロータリアン)が自己を向上させるための研鑽(切磋琢磨)の場として位置づけられます。ロータリアンは、自己と自己の奉仕の価値を高めるために、心を研ぎ澄まして例会に臨み、語るに値する仲間と大吉田 知弘(福岡東RC)はじめに古典的な言葉としての「親睦」 親睦活動月間によせて

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