「福岡東ロータリークラブ40年のあゆみ」
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94会長の一番の仕事は例会での「会長の時間」でしょう。例会冒頭の「会長の時間」というのは傍から見ると会を始める合図のようなもので、あまり真剣に聞いている人はいないようにも思えますが、当人にとってはそれは大変な重大事業なのです。話題を考えるのが1週間の苦痛でもあり、また楽しみでもあるわけです。ロータリーはいろんな職業人の集まりですから、ある職業で会長を出すことはその職業にとっては名誉(?)なことですので、自分の職業の特性を会員の皆さんに知っていただき、その職能による「職業奉仕」や「社会貢献」について、自覚とPRのチャンスと考えなければならないと思いました。私は自分の建築家としての職能を意識しながら僭越にも「ロータリーと文化と建築」というテーマで「会長の時間」を組み立てたつもりです。ビジネスは宿命として「限りなき利潤の追求」という魔物を抱え込んでいます。これが時として暴走しますので、それを制御して人間本来の心の豊かさ、思いやりの心を取り戻す役目として「ロータリー文化論」を考えてみました。これも「建築は文化」であるという考えの上に立ったもので、建築設計が近年とかくゼネコンやディベロッパーの不正行為の片棒を担いでいるような風潮を戒めるためでもありました。その他に、ロータリーは政治や宗教に中立で、また大会社の社長も小さな個人経営のオーナーも平等だという思想、あるいは組織や年齢・派閥による命令や服従・差別などのない自由な団体であるとの信条から、当年度の活動テーマを「垣根を取って広場にしよう」としました。こちらは次期会長選出時に思わぬ垣根があって苦い経験をしました。私はロータリーは自分の職業を通じて社会に貢献(職業奉仕)することを活動理念とした団体だと考えてきましたが、会員の中にはかなり違った考えの方もおられることがわかりました。しかし、自分と違った考えの人を排除しないのもロータリーの特性であります。私が会長時代に学んだ大きな収穫は自分と違った考えを認め、多くの人と友情を育んでいくことがロータリーの理想であるということであります。「多様性と寛容の精神」こそロータリーの本質であります。私の任期中の世界の大きな出来事としては、アメリカに黒人初のオバマ大統領の誕生、また、リーマン・ブラザーズやGMの倒産による世界経済の大激震などがありました。わずか2年前のことですが、何か遠い昔のことのようにも思えてきます。最後になりましたが、終始私を助けてくれた幹事の大松会員の存在が大変心強かったことを申し添えて会長時代の思い出といたします。2008~2009年度会長 後藤 忠義

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