はまかぜサンプル
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季刊・はまかぜ 3致していた後部硝子膜の所が輪状になっていて、黒い輪の影を伴った飛蚊症が現れることが多いようです。一般には治療の対象とはなりませんが後に述べる網膜障害を伴うことがあり急に発症した場合は検査が必要です。時間が経って、硝子体後方の膜がさらに眼球の前方へ移動(図4)すると網膜から遠くなって症状がおさまることもあります。網膜と硝子体が部分的に強く癒着していたり、網膜が薄い人では、後部硝子体剥離の進行に伴って網膜に裂け目(網膜裂孔)が形成され、そこから網膜剥離が起きてしまうことがあります(図5)。この場合症状としては飛蚊症に加えて、剥離した網膜に一致して視野が欠けていきます。 網膜剥離は失明につながり得る病気ですので、早く検査・治療を受ける必要があります。後部硝子体剥離、網膜裂孔形成、糖尿病網膜症、網膜血管閉塞などの眼底病変に伴い網膜から硝子体中に出血がおこることがあります。少量では飛蚊症として自覚されます。多量の出血の場合視力が下がることがあります。目の中に炎症が起きる病気で、原因は様々です。 結膜(白目)の充血を伴うことが多いですが、伴わないこともあります。硝子体の中に炎症細胞(白血球)が出てくると(図6)、全体に小さな濁りが飛んで見えることが多いようです。 ぶどう膜炎も早く検査・治療を受ける必要があります。体の抵抗力が落ちた状態では、他の臓器に隠れていた病原菌が眼に回って来て炎症を起こすことがあります。また白内障や緑内障などの手術を受けた後に、眼球内に菌が入って感染を起こすことがあります。飛蚊症がひどくなるほか、物が霞んで見えたり、眼痛が生じたりします。より早く検査・治療を受ける必要があります。光視症は視線を移動した際に、視野の一部にキラキラした物が見えたりする症状で、多くのケースでは、飛蚊症と同時に発生します。網膜と硝子体の間に強い癒着があると目を動かすたびに硝子体が揺れて網膜が引っ張られます。この時、網膜が刺激を受けて実際にはない光を感じます。網膜と硝子体の癒着がとれれば、光は見えなくなります。そのほかに、中枢性、つまり眼球以外の原因で、光視症が起こることもあります。片頭痛を伴う場合は、閃せんき輝暗点と呼ばれます。ギザギザした光が見え周辺に広がっていくことが多いようです。光を感じる症状は数分から数十分続きます。飛蚊症を初期症状とする病気は、いずれも早期治療が重要です。見える浮遊物の数が増えたり形が変わったり、視力が落ちるようであれば早めに眼科医に相談してください。専門の立場から後部硝子体剥離と網膜剥離図4 進行した後部硝子体剥離図6 ぶどう膜炎による炎症細胞硝子体出血による飛蚊症ぶどう膜炎の症状として起きる飛蚊症 眼球の感染症の症状として起きる飛蚊症光視症とはおわりに図5 硝子体牽引による網膜剥離裂孔網膜剥離

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