はまかぜサンプル
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2専門の立場から飛蚊症と光視症について◎眼科部長川野庸一「ぼける」、「かすむ」、「ゆがむ」、「暗い」、など視覚に関する自覚症状にも様々なものがあります。「黒いゴミが飛んで見える」、「光が走る」などの症状も眼科を訪れる患者さんの代表的な訴えです。それぞれ飛ひぶんしょう蚊症、光こうししょう視症と呼ばれます。問題ない場合も多いのですが、重大な病気のサインであることもあります。今回はこれらの症状につき少し詳しく解説します。外から入ってきた光は、角膜と水晶体を通って硝子体を通過して網膜(カメラのフィルムに相当)上で像を結びます(図1)。硝子体は透明なゼリー状の組織です。硝子体に何らかの混濁などが生じると、明るい所や白い壁、青空などを見たときにその濁りの影が網膜に映り、虫や糸くずのような『浮遊物』が飛んでいるように見え、飛蚊症として自覚されます。眼の前を蚊が飛ぶ様に見えることからこの名前が付いています。目を動かすと一緒に移動しますが目の動きとは少しずれて、動きを止めても浮遊物は遅れて止まります。まばたきをしても消えませんが、暗い所では見えません。飛蚊症には生理的な原因によるものと病的な原因によるものがあります。硝子体の内部は、透明ですが線維や多少の細胞成分があり、病的な濁りでなくても光の加減で影を作る場合があります。特に近視の人は眼球が前後に長い傾向があり、その分、硝子体内部に空洞ができやすく、その空洞の縁に線維などが集まるので、生理的飛蚊症が起きやすくなります。硝子体とその奥の網膜は一般に若い人ではぴったりとくっついています(図2)。ゼリー状の硝子体は老化や近視眼で収縮していきます。収縮が進むと空洞ができるだけでなく、突然硝子体の後面と網膜とが離れてしまいます(図3)。これが後部硝子体剥離という状態で中年以降によく生じます。もとの硝子体の後ろ側の膜(後部硝子膜)の影が網膜に写り、急に飛蚊症が現れます。視神経乳頭に一飛蚊症とは生理的な飛蚊症加齢に伴う生理的な飛蚊症図2 硝子体未剥離眼図3 後部硝子体剥離図1 眼球の構造

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